膝が痛い

　変形性膝関節症は、膝の痛みが生じる代表的疾患で、多くの方が罹患します。放おっておくと、どんどん悪化して行きます。早期から運動療法を中心として治療を続ける事が重要です。ヒアルロン酸の注射は痛みの改善と、進行を抑えるのに有効です。自分の膝でいつまでも痛みなく歩行ができるように頑張りましょう。

●変形性膝関節症

女性に多く、高齢になるほど発症率が高くなります。関節軟骨が年齢とともにすり減ることで起こります。また、肥満や素因（遺伝子）も誘発因子です。主症状は膝の痛みと水がたまることで、特に、運動時の痛みや正座など膝を深く曲げる動作が困難となります。末期になると安静時にも痛みがとれず、変形が目立つようになります。

 【治療】

■保存療法

痛み止めの内服や注射をし、膝の筋力をつけるリハビリテーションを行っていきます。

■手術療法

保存療法で直らない場合に、検討します。高位脛骨骨切り術（骨を切り取る）や人口膝関節置換術などがあります。

●半月板断裂

半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間にある軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあります。これが、スポーツなどの怪我、加齢によって損傷することで生じます。半月版が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合は、膝に水がたまったり、痛みも強くなります。

【治療】

リハビリテーションや抗炎症薬の処方など保存的治療で症状が改善する場合がありますが、改善しない場合には手術を行います。手術法には切除術（損傷した部分を切り取る）と縫合術（損傷した部分を縫い合わせる）があります。

●関節リウマチ

関節にある滑膜という組織が異常増殖し、関節内に慢性の炎症を生じる疾患です。特に30～40歳代の女性に多く発症します。原因はまだよくわかっていませんが、免疫の異常が関与していると考えられています。進行すると、関節が破壊され様々な程度の機能障害を引き起こします。関節の症状に加え、貧血や微熱、全身倦怠感などの全身症状を合併することもあります。

【治療】

薬物療法が中心で、抗リウマチ剤と非ステロイド消炎剤を基本とし症例により様々な薬物を使い分けます。近年生物学的製剤が登場し、著しく治療に役立っています。しかし副作用と費用が高い事が問題です。 リハビリテーションも有効です。腱の損傷などが生じた際には手術も適応となります。

●骨壊死

骨への血液供給の低下により骨の一部が壊死してしまった状態です。骨壊死が起こると、痛みが出現し、関節に発症した場合には可動域が減少されます。壊死しただけでは痛みは生じませんが、壊死した部分の骨がつぶれることで痛みが生じます。危険因子は、ステロイド関連、アルコール関連、明らかな誘引のない突発性骨壊死があります。

【治療】

抗炎症薬や鎮痛薬を服用したり、リハビリテーションで症状を和らげることができます。手術療法では、壊死した部分に穴を開ける方法（中心部減圧法）や骨移植、人工関節置換術などがあります。